フィンテック株式会社

Optimum conditions

最適運転条件とは

高沸点・感熱性物質の蒸留の殆どは中真空領域での短行程蒸留 (Short Path Distillation)で行うことができます。

そのような真空蒸留は熱劣化なく 希望する品質と量を得られることを条件として熱力学的に複数の成分を蒸留分離できて 初めて目的を達成したといえます。

しかし、その難しさは蒸留される混合液自身の物理的性質が明確でないこと 、および組成の僅かな違いが蒸留に大きな影響を与えることに加えて、蒸留の複数の運転条件 (100Pa~0.1Paの真空領域、許容温度領域、フィード速度等)の中から製品品質および経済性の観点から 最適な運転条件の組合せを1つ見出さねばならないことにあります。
その蒸留の運転条件の組合せは何百通りにもなり 、蒸留装置設計のためにはその中から最適な運転条件を1つ見付けねばなりません。

UIC社では蓄積した蒸留技術およびノウハウにより、 希望する製品品質を得ることを目的とした蒸留試験で、最適運転条件を見出して、実証しています。

最適運転条件の模索のイメージ

Scalability

スケールアップ

この実証試験なくしてスケールアップはできず、 UIC社ではスケールアップでその製品に適したプロセス開発を行って、その実証性能を再現し、 その蒸留性能を保証しています。これは正に世界のトップ技術を意味しています。

一旦、製作された蒸留装置の性能には自ずから制限と限界があるので、 他の製品を同一装置で蒸留する場合には、蒸留できない可能性があり、その製品の物理的特性に適合した 最適運転条件を見出すための再試験を行う必要があります。

このようにUIC社は蒸留試験により御社製品のための最適運転条件を提案し、 運転上の問題点を解決し、加熱面積60m2までのスケールアップを行い且つ連続運転におけるその蒸留性能を 保証できる世界的に類稀なる専門家です。

パイロットプラントのイメージ

Guarantee

性能保証

スケールアップで性能が得られない装置は蒸留実験による製品品質の 実証およびスケールアップ技術がないことに起因します。そのような場合には誰も責任を取らず、 不満足なハードウエアの継続使用を余儀なくされて、会社として損失を被ることになります。

そのため、生産装置の設計には、蒸留試験で実証された蒸留性能と その製品品質を再現できるノウハウおよび設計・製作の能力があることが必須で、その性能保証を 得られることがユーザーにとって重要です。

UIC社は20世紀初頭の高真空ポンプの発明に端を発する 高真空技術の系統を受け継ぎ、短行程蒸留の開発および実績では、既に70年にも及ぶ開拓者であり且つ世界のリーダーです。
真空蒸留のための正しい真空工学を駆使し、製品に適したプロセス開発を行える UIC社は貴社新製品のために信頼できるスケールアップアプローチと最新技術による最適な短行程蒸留技術を 提案できます。
その確立した蒸留技術によりわが国も含めて世界的にその蒸留性能にご満足頂いております。

物質の質量1grは中真空領域では、蒸気として何m3にもなり、その気流と圧力損失が 蒸留プロセスに重要な影響を与えます。僅かな組成含有量および物性の違いにより、蒸留条件が異なることになります。 従って、真空蒸留は1品ごとの蒸留試験の実証およびスケールアップが必須であり、ユーザーにとって生産装置での 蒸留性能の保証が最も重要です。

蒸留試験の実証がないスケールアップは海図のない航海へ船出するようなものです。

Distillation test

最適運転条件の試験

希望する製品品質が真空蒸留で得られて初めて蒸留試験と言えます。

天然物質も化学反応製品もフィード液中には2成分のみならず、有機溶媒、水分、軽揮発分や低沸点物質、 モノマーや分子量の異なる成分、重質分、不純物等様々な成分が含まれているのが普通です。 単に2成分に分離するのではなく、製品粘度、濃度、純度、固化等を考慮に入れ3成分以上に分離し、 反応助剤や微量成分を分離するニーズもあります。

このように複数成分の分離および純度を目的とする真空蒸留は単に沸点に応じて 2成分を分離する単純なプロセスではないのが普通です。 生産装置ではそれらすべてのニーズや要求に対応できることが求められます。
従って、単純な蒸留試験装置ではなく、あらゆるプロセスニーズに対応できる付属システムを 完備させることが必要であり、フィード、真空作成、加熱・冷却についても広範囲の条件に対応できる システムを準備できることが必要です。

UIC社の真空蒸留試験開発研究所には、ニーズに応じて流下膜蒸留、 薄膜蒸留、精留、脱ガス段等の装置を短行程蒸留パイロットプラントに組み付けでき、 また多段式で連続運転の試験ができるあらゆる付帯設備が完備しているので、全てのニーズに対応して 最適運転条件を容易に実証できます。
また、ニーズに応じて最適なプロセス開発を提案できる専門技術者が蒸留試験を指導し、 同時に蒸留プロセスの開発を行っています。このように蒸留試験では最適な蒸留プロセス開発と 最適運転条件の探求を行うことを目的としています。

蒸留試験の図解

最適運転条件:
蒸留プロセスDprocess 1において、 フィード速度Frate 1、真空度P1の場合、加熱温度Tを変化させて、 最適温度にて希望する製品品質のカット率C1 (=留分量/フィード量)を得る。 C1 は製品品質の分析結果で、希望する製品品質に適合する値である。

  • 加熱温度Toptimumでは品温が最高許容温度以下であること。
  • フィード速度は運転条件変えてC1が得られた最高値である。
  • 但し、この最適運転条件はハードウエアの設計および構造によっても影響を受ける。

Analysis

製品品質の分析

真空蒸留には希望する製品品質を得られる蒸留分離の公式はなく、 希望する製品品質を得られる自動計測器もありません。
即ち、希望する製品品質を連続して得るための条件は 常にフィード速度、真空度および加熱温度を一定に保つことです。一つの運転ファクターが変わると、 他の運転ファクターも全て変わります。

最適運転条件の製品の品質は蒸留実証試験で得られたサンプルをユーザーの所定分析法で 確認するのが一番確実な方法です。
スケールアップの生産装置では、製品品質は最適運転条件で運転することにより確保されますが、 その際には、フィード速度、残渣速度および留分速度を測定できる質量分析計を装備して希望する カット率が得られていることをチェックできます。
生産時の製品品質は採取される製品サンプルの分析で確認できます。

製品分析実験の様子

test

蒸留試験

以上のように真空蒸留は蒸留装置のハードウエアのファクターに加えて、原料組成、 濃度、微量成分等の製品ファクター、運転ファクター等の製品品質および処理量へ与える要因が多くあり、 最適運転条件を見出すことは容易ではありません。

性能に制限がある標準的な蒸留装置や本体だけで真空システムが供給範囲外のような蒸留装置では、 ユーザー自身が生産機で最適運転条件を見付け出すことを強いられ、またハードウエアの改造も自己負担となるので、 満足し得る製品を得るまでに多くの時間と経費を要することになります。

また、陽圧の化工機と真空装置の設計では、その大きな圧力差のため蒸留工程における 蒸留物質の物理的現象の差が大きいので、 陽圧化工機の設計に基づく装置では真空蒸留性能が得られ難いことは周知の通りです。

真空蒸留は蒸留試験による希望する製品品質の実証がなければ、 生産装置の運転は暗中模索の試作の連続となり、ハードウエアの改造を回避し得ないことになります。

UIC社は蒸留缶本体に加えて、あらゆる蒸留プロセスに 対応できる各種付帯設備を準備しており、その組合せは数百通りにもなります。それにより希望する蒸留製品の 品質を得ると同時に、スケールアップ時の蒸留性能を保証することを目的としており、事実世界のトップ技術 としてその卓越する蒸留技術で全ての生産用蒸留装置の性能を保証しています。
左記の図はそのような蒸留試験に使用されるパイロットプラントの一例です。

蒸留試験に使用されるパイロットプラントの一例

蒸留試験は少量試料0.2-5 kgによる蒸留可能性を調査するための小型蒸留試験装置と スケールアップデータを採取するための試料50-300kg用パイロットプラントに分けられます。

装置型式 用途 試料
少量試験:
KDL1型*1 オリエンテーションのための予備試験 min. 200gr
KDL5型 フィージビリティ試験、少量サンプル採取 1~5kg
DSL5型*2 フィージビリティ試験、少量サンプル採取 min. 3kg
スケールアップ試験:
RF10型*3 スケールアップ試験 min. 100kg
KD6型 小規模プラント用スケールアップ試験 min. 50kg
KD10型 スケールアップ試験 100~300kg

*1 KD…短行程蒸留   *2 *3 DSL, RF…薄膜蒸留, 精留

Inquiry

ご照会

蒸留試験はサンプルを頂ければフィンテック㈱にて全て秘密扱いとして、 UIC社にて最適条件が得られる蒸留試験が行われます。 (試料は弊社指定場所へお送り頂ければ、 発送・返却の業務すべてを弊社にて行います。)

蒸留試験後には、UIC社の試験結果報告書および運転データプロトコールが提出されます。 全ての試料は試験直後に貴社分析用サンプル、各軽揮発分、各留分、各残渣等を含めて貴社に返送されます。

貴社サンプル分析と製品品質ご評価の結果として、最適運転条件が決められます。
UIC社ではその最適運転条件のデータに基づいて、スケールアップを行います。 スケールアップとして設計・製作された生産用蒸留装置では、製品品質およびご希望処理量が保証されます。

蒸留試験に関するお問い合わせ

フィンテック株式会社

〒651-0096 兵庫県神戸市中央区雲井通1-1-1 ツイン雲井フレックス21-414

お電話によるお問い合わせ: 電話アイコン078-241-6444

FAXによるお問い合わせ  : FAXアイコン078-241-7019

Emailによるお問い合わせ :E-mailアイコン

蒸留試験質問状

真空蒸留セミナーのご案内

弊社では毎年10月に、東京または大阪にてUIC真空蒸留セミナーを開催致しております。
真空技術、真空蒸留入門、真空蒸留技術、真空蒸留の実際、蒸留試験等につきUIC技術者による講演があります。 皆様のご参加をお待ち致します。